紙漉き papermaking

2012/08/07

紙漉きワークショップ papermaking workshop

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夏恒例、アトリエでの紙漉きワークショップ週間がはじまった。

牛乳パックからビニールコーティングを剥がしてパルプを取り出すことに多少慣れたとは言え、手作業でまとまった人数分こしらえるのは大変だ。

とはいえ、いい加減に作業すると、繊維がほどけきれずにゴワゴワしてしまったり、ビニールが混じってしまっては興ざめなので、手は抜けない。

ちなみに昨年の震災以降、放射線の心配もあり、牛乳のメーカーを代えていたのだが、この牛乳パックの材質がそれまで使っていたものに比べ頑固で(変な表現だが、繊維になりにくい)パルプ化するのに数倍時間がかかってしまった。

しかも、試し漉きしてみると、仕上がった紙がなめらかでは無かったため、結局以前使っていた牛乳パックをスーパーで分けてもらい、作り直すこととなった。

牛乳パックなら何でも同じ、というわけでは無かったのだ。何事も勉強、勉強。


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幼稚園の年長から小1、小3の男女5人で紙漉きスタート。乾燥させたパルプをミキサーでほぐし(上図)、

これをザルに受けて水をきる(中図)。もちろん、切った水は下のバケツで受けて再利用。

これを各自のバットにそーっと移し、水の中でゆっくりとパルプをほぐしていく(下図)。

小さい子供たちには難しい言葉ではなく、「エンジンを吹かすようにブンブンブンとミキサーのボタンを押して」とか「ラーメンのお湯を切るようにザルを振ってみて」と興味を持ちそうな表現で伝えると、すぐに理解。


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自家製漉き枠で紙を漉き(上図)、

軽く水を切ったらフエルトの上に漉きあがった紙を伏せ、木の板で押して水を押し出す(中・下図)。


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タップリのパルプをバットに入れ、厚手の紙を漉くのも楽しいが、なんと言っても色紙を紙と紙の間にサンドイッチする漉かし入りの紙づくりが綺麗でおもしろい。

あらかじめ、正方形や、三角、丸や帯状に切った素材を何種かと、自由にはさみでかこうできる色紙を用意し、これをつかってデザインするのだが、ただ置くだけでも子供一人一人の個性がでて楽しい(上図)。

漉いた紙にフエルトを重ね、またその上に紙をすき…、十枚漉き終わったら、手機械を使った水絞り。

子供たちはこのハンドルのついた謎の機械が大好きだ。普段は「さわらないでね」といわれてしまう手機械だが今日は力一杯回すことが出来るとあって、どの子もみんな一生懸命(中図)。

水を絞り終えたらローラーを使って窓という窓にどんどん貼り付けていく(下図)。

夜になるとアトリエ内から照らされた電気に浮かび上がるすかしいりの紙が雰囲気のある照明器具のようになってとても綺麗だ(巻頭写真)。


 

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2011/08/19

紙漉きワークショップ 第三弾

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夏の紙漉きワークショップの3回目は,小学3年(女子1人),2年3人(女子2人・男子1人),の4人でスタート。

「作ることが好き」が行動から見えてくるような4人で集中力も高い。


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和紙漉きでは「ねり」と呼ばれるトロロアオイという植物の根をつぶしたときに出るジェル状の液体を入れ,繊維を浮遊させる。

代用品もないわけではないが,極端に薄い紙を漉くわけでもないため,ワークショップではねりは入れない。

従って
ここでは,漉くたびにパルプを水の中で丁寧によく混ぜることが綺麗な紙を漉くコツとなる。


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よく混ぜたパルプ液が入った桶の奥から,漉き枠を斜めに入れ(上図),

水平に引き上げる。ここで漉き枠を傾けると,漉き上がりにムラが出来るので注意(中図)。

重ねた上の枠をはずす。水分を多く含んだ紙は繊維の結合が弱いため,ここで慌てるとせっかく漉いた紙が崩れてしまうことがある(下図)。


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下枠は軽く水を切った後,ゆっくり下に向け,用意したフエルトに伏せる(上図)。

枠と同じ大きさの押し板で押し,軽く水分を切る(中図)。

紙がフエルトに移ったら,上に新しいフエルトを重ね,次の紙を漉く(下図)。


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面白いのは紙にデザインをすることだ。細かいパーツや色紙を選んで自分なりの絵を作る。

以前はパンチを使って様々な形を用意したが,皆似通ったデザインになってしまうため,最近では基本的には色紙を切ったり破いたりして自分なりの形を作ってもらうことにしている。


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今回の参加者は,先にも書いたとおり皆,作ることが好きなようで,一つ一つの紙に時間をかけてデザインを楽しんでいた。


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ただ,一枚一枚を作るのに時間がかかりすぎたため,制作枚数が増えず,少々焦る場面も。

しかし残り30分,ラストスパートをかけてそれぞれ30枚ちかく漉くことが出来た。


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性格によって,メンバーによって,状況によって出来る作品がガラッと違う。十人十色,計算のように答えがないからこそ生まれるこの違いが「もの作り」の良いところだ。

手を動かしてみて,出来あがった自分の作品を見て,他の人の作品を見て考え,感じることで,答えのない感性は磨かれていく。

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2011/08/10

紙漉きワークショップ二日コース

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今年から二日コースを設けた紙漉きプラス。

1日目に紙漉き,二日目に漉いた紙を使ったノートを作る。一般生活において,素材から製品まで一貫して手がけるチャンスはあまりない。

与えられたものではなく,自分で作り出すことの楽しさを体験してもらう。


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今回の参加者は小2の女の子,小1の男の子と女の子,そして,小1の女の子の弟で幼稚園年長の男の子の4人。

紙についての簡単な説明の後,早速パルプづくり。事前に牛乳パックから取り出した乾燥パルプをミキサーでほぐし,ザルにあける。


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各自の水桶にザルにあけたパルプを入れ,よく攪拌する(上図)。

自家製紙漉き枠でパルプを漉く(中図)。

すき取った紙はフエルトに移す。その上にフエルトを重ね,紙を漉くことを10回ほど繰り返したら,手機械に挟んで水を切る(下図)。


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フエルトに貼り付いた紙をガラスに移す。スポンジローラーでこするとガラスへ簡単に貼り付けることが出来る。そして1日目終了。

皆30枚以上紙を漉くことが出来た(TOP写真)。


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二日目。

残念なことに小2の女の子が都合で来られなくなったため,3人でスタート。

まず,仕上がった紙を確認する。厚い紙,中厚の紙,薄い紙に分けて,表紙用,中身用にどの紙を使うか検討する。しかし,どのくらいが厚いのか,どのくらいが薄いのか,判断が中々難しく,不安な厚さのものは大人が一緒に検討(上図)。

今回は三種類の本を作る予定なので,最初に作る本を多数決で選ぶ。二人が折り本を選んだので,まず折り本から(中図)。

はじめに,折り本の中身を蛇腹に折る。正確に,慎重に。折った部分は指でしっかりと折り筋をつける。各作業を確実にすることが,綺麗な作品をつくるコツ(下図)。


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表紙用の紙をつくる。

まず,表紙用紙に事前に作ったジグを合わせて線を引く(上図)。

ジグに沿って描いた線をはさみで切る(中図)。

切り取った表紙の中央にボール紙をしっかり貼った後,折り返し部に糊をつけて貼る(下図)。


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出来あがった折り本。「ギザギザ〜」。


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次は一折り中綴じ本。

表紙を一番下にして,その上に5-6枚薄手の本文紙を重ねる。一番上の本文紙を半分に折り,その折り線に穴を開ける位置が印されたガイドをあて,鉛筆で穴開け位置に印をつける(上図)。

穴に合わせて糸で綴じる。本来は糸に針を使うが,子どものワークショップでは危ないので,針のいらない魔法の糸を使う(中図)。

最後は固結びして,残り糸にビーズを通して完成(下図)。


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三人ともきちんと作れました。

残り三十分で枝を使った「平綴じノート」を作って無事2時間のワークショップ終了。


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記念撮影。みなさん,よく出来ました。

制作途中,ちょっとうまく行かないことや,難しいところもあったが,みんな,しっかり三種類の本を完成することが出来た。

迎えにきたお父さんやお母さんにうれしそうに見てもらっている姿がとても印象的だった。

今夏,紙漉きワークショップはあと3回あるので,次はどのような作品が出来るか楽しみ。


 

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2011/08/07

し・た・く

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紙漉きワークショップ二日コースのしたく。

二日目に初日に漉いた紙を使って本を作る。今回は「枝をつかった平綴じ本」「折り本」「一折り中綴じ本」を用意する。

年齢に幅があり,時間も限られているため,すべて出来るかは分からないが,出来るだけ効率よく作業を進めるための準備はおこたれない。


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今回難しいところの一つは折り本の表紙部分。表紙になる紙に芯ボールを貼って,折り返しを残して余分を切り落とし,さらに四隅の角を45度に切るところだ。

大人にとってたいした作業ではないことも,はさみの使い方がまだはっきりしない子どもには大変難しい作業だ。もちろん45度も分からないのでジグを作って対応することにした。

ジグの原寸図をプリントアウト(上図)。

ペーパーセメントを塗ってプラバンに貼り付ける(中・下図)。


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切り抜く内側の四角の四隅に目打ちでへこみをつけ,そのへこみをガイドにピンバイスで穴を開ける(上図)。

穴と穴をつなぐようにカッターで切り込みを入れる。ピンバイスで穴を開けるのは,カッターの切り込みが広がってプラバンを割るような事故を防ぐため(中図)。

できあがったジグ(下図)。


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表紙素材に芯ボールを貼り付けた後,このジグを芯ボールにはめる。次にジグの外周を鉛筆でなぞり,その線にそってはさみで切るのだ。

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関係ないが,切り落とした四隅の直角二等辺三角形を6枚使うとこのような6面体が出来る。


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平綴じようの小枝を切る。細いので,試しにオルファの「のこ刃」を使ってみたら,意外によく切れてびっくり。

ほかに「中綴じ・平綴じ用」穴開けガイド,針のいらない糸など秘密兵器を用意して明日に備える。


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2011/07/27

紙漉き papermaking その2

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一連の作業はほとんどぼーっとしながらできるものなので,気は楽だが,下向きのため,気づくと腰が痛くなっているのが難点だ。


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コーティングをはがした紙はまだ,繊維同士のつながりが強いため,指でちぎって細かくする(上・中図)。

すべて2センチ角程度にちぎれたら,再度水を入れかき混ぜる。繊維の結合を緩めるため,表面積を多くして,完全に水を浸透させるのが目的。水が繊維に浸透すると,紙は半透明な感じになる(下図)。


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手で紙を引っぱり,繊維がボソッと外れるようになったら,ざるに空けて水を切る(上図)。

ひとかたまりずつ板に挟んでプレス機で水を切る(中・下図)。


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これを細かくちぎって天日干し。夏は乾きも早い。写真では黒いシートの上に広げているが,本当は梅干しを干すような大きな平たいざるを使った方が,水分が下に抜けて乾きが早い(上・中図)。

完全に乾燥した紙のもとは,計量場へ(下図)。


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約700グラム。

最初が1100グラムだから,歩留まり約64パーセント。

次回はなんとか70パーセントを超えたい。

 

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2011/07/26

紙漉き papermaking  その1

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夏といえば紙漉き。アトリエ夏のワークショップ定番のメニューだ。
紙漉きに使う紙の原料は牛乳パックから取り出すパルプを使う。

牛乳パックのパルプは良質なバージンパルプ。しかも結構厚いので,1リットルパックから,はがきサイズの紙がうまくすると4-5枚とれる。

とはいえ,ワークショップで子どもが一人,3-40枚漉くとして,20人分ともなると大変な量が必要になる。この日のために一年がかりで牛乳を飲み続けるわけだが,それでも足りず近所のスーパーにもらいに行く。

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牛乳パックは,まず上の屋根上になっている部分を開いて,糊しろ部分をカッターで切る(上図)。

次にそこの部分を切り開く(中図)。

開いたパックは屋根上の口部分と,糊しろ部分,そしてそこの部分をぐるりとカッターで四角い形に切り取る。紙が重なっている部分は紙にコーティングされたフィルムが取りづらいので,もったいないが,このように切るのが一番歩留まりがよい(下図)。


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とりあえず50枚分。1100グラム。


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次に,トリミングした牛乳パックを内側と外側にむしるようにして分ける。このようにすることで,紙に水がしみこみやすくなる(上・中図)。

これをまとめてバケツに入れ,数日放置する。ただし,水は一日一回替えるようにしないと,くさくなってしまうので注意(下図)。


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水を替えてはグシャグシャもんで,三日目(上図)。

慎重にフィルムを紙からはぎ取る(中図)。

しっかりと,紙に水が回っていれば,写真のようにフィルムだけうまくはぎ取ることができる(下図)。

つづく。


 

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