修理

2016/01/14

"おばあちゃん"のアルバム改装    その6

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天地の小口と前小口の角を落とす(上図)。
はじめに定規にカッターを斜めに沿わせ削ぎ、最後にサンドペーパーで丸く仕上げる。カッターで削ぐことでサンドペーパーの作業時間が大幅に短縮する。

表紙の片面にボンドをつけ、表紙素材に貼り付ける(中・下図)。


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続いて背をはり、もう片方の表紙ボールの順に貼っていく(上・中図)。

当たり前のことだが、へらで密着する際はボール紙側からではなく、表紙素材側から行う(中図)。

貼り込んだ表紙素材は折り返し部分の15ミリを残して切り落とし、四隅を表紙ボールの角から3ミリほどあけて45°に切り落とす(下図)。


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折り返し作業(写真)。


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表紙素材が折り返された部分とそうでない部分の段差を埋める。

まず、背部分に丸みをつけた地券紙をはる(上図)。

続いて表紙ボール部分の埋め立て(下図)。


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クータをつける(写真)。

本文が黒なので黒い紙を選択。


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本文と表紙のくるみ作業。

まず、背と本文を接着(上図)。

背と、本文が固定されたら見返し糊入れ(中図)。

あんこ付きの本文のうえ、写真が貼り込んであるため、強くプレスをかけることが出来ないので、手のひらに体重をかけ、しっかりと見返しが表紙と密着させる(下図)。


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乾燥するまで手で押さえているわけにもいかないので、吸湿用の水彩紙をさしこみ、手機械の端のほうに軽く挟んで、斜めの状態を作り出し固定(写真)。

何度か水彩紙を交換し、一晩おいて完成。


 

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2016/01/12

"おばあちゃん"のアルバム改装    その5

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丸く仕立てられた背幅の計測(写真)。
紙帯を巻き付けて実測する。


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元はつけられていなかったが、花布をつけることにする。花布の幅は計測した背幅より若干短めに切り出す(写真)。


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天地の花布間の段差を地券紙で埋める。

測り取った背幅を地券紙に移す(上図)。

定木や机の角に手のひらを押しつけながらしごくと、紙に丸みを出すことが出来る(中・下図)。

先に丸みをつけておくと接着作業が楽になる。


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本文の背と、丸みをつけた地券紙にボンドを塗り、接着(写真)。

寒冷紗部分は折り目の凹凸があるのでしっかりボンドを塗りつける。
また、地券紙との接着ではへらを使い丁寧にこすりつけ、密着させることが重要。


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丸背と言っても耳出しされたものではないが、表紙のガイドとなるカルカスを作る。

表紙ボールの天地幅でケント紙を切り出し、2ミリのボール紙厚をとり、折って作る(写真)。


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表紙ボールを切り出す(上図)。

ボンドをつけ、カルカスに貼り付ける(中・下図)。

これを本文に「仮くるみ」し、前小口の長さを決め、余分を切りとっておく。

つづく。


 

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2016/01/07

"おばあちゃん"のアルバム改装    その4

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門松も南天の実が入ると華やかさが格段に上がる。

とても綺麗だったので、散歩の途中にパチリ。


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追加ページを貼る。

最初のページのあんこ部分にボンドをつけ(上図)、

背の丸みに合わせるようにして追加ページを貼り込む(下図)。


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丸背の仕様なので、新しく追加した小口は前ページより若干とびでる。

本を閉じ、前ページの小口位置を鉛筆でチェックし、今回の場合小口の出を1.2ミリデバイダーで測り取り、天地の小口共々余分を切り落とす(写真)。

追加した写真を貼ったもう一枚の台紙は最終ページにはり、同じように処理する。


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見返しをつける。

オリジナルに近い色のレザックつむぎを使う。

これも台紙と同じく、台紙の折り返し部分に貼る貼り見返し(上図)。

しっかりと密着させるため、表からだけではなく、内側からもへらを使いしっかりとこすりつける(中図)。

見返しの小口は本文のページと同じ位置で切る(下図)。


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今回はがれている折りはそれぞれ個別に接着したが、背自体が酸化でもろくなっているため、ボンドを塗って背固めする(写真)。

ボンドで層を作ることでポロポロと紙が崩れるのを防ぐのが目的だが、多分はがれてしまうときはごそっととれてしまう気もする。


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ついでに寒冷紗で背を巻く(写真)。


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背に厚紙をはさみ目玉クリップでしばし固定。

つづく。


 

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2016/01/05

"おばあちゃん"のアルバム改装    その3

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受験生のいるわが家は大晦日の晩から湯島天満宮へくり出し、合格祈願と共に初もうで。

午前零時になると若者たちがイェーイと奇声を上げハイタッチ。元気がよくてよろしいが、なんだかアップルストアでの iPhone 初売りに並ぶ客と店員みたいでちょっとこそばゆいのは歳のせいか。


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おばあちゃんのアルバムは、元の表紙やサインの入った見返しを貼るページと、バラになって挟まれた写真を貼るページを新調する。


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折り返しのあんこ部分はオリジナルと同じ12ミリをとり、前小口側は多少長めに取っておく。


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旧表紙と見返しはトリミングし、台紙に貼り付ける(写真)。


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バラの写真も貼り付け、歪みが出ないよう美術全集に挟んでしばしプレス(写真)。

つづく


 

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2015/12/26

"おばあちゃん"のアルバム改装    その2

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酸性紙問題。

20世紀初頭から半ば頃に作られた本に使われた紙に施す「インクのにじみ防止」の行程で使われる薬品が原因となって起こす紙の劣化問題だ。

紙に粘りがなくなり、ポロポロと崩れるように崩壊する。

この昭和初期のアルバムも例に漏れず見返し、台紙ともに劣化が始まっている。紙を中性にするスプレーなども売っているようだが、文具屋で手軽に買えるものでもないので、解決が難しい問題だ。


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アルバムの清掃。

付着した汚れはへらなどで掻きおとす(上図)。

見返しの剥がれた部分で掻きおとせない所は水に浸した海綿で水分を与え、へらやカッターではがしていく(中・下図)。

これをしないとあとで見返しをつけても古い見返しくずのところで剥がれ落ちてしまう。

黒い台紙を海綿で軽くこするだけで台紙が溶け出し、海綿を黒く汚す(中図)。


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全体に清掃が出来たら刷毛でゴミを払っておく。


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剥がれた写真を貼り直す。

昭和九年の写真は天津で撮られたもののようだ(上図)。

写真用ボンドを使って外れたところを貼り直す(中・下図)。


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破れた写真裏には楽譜修繕用の和紙テープを裏に貼り、しっかりとへらでこすりつけ密着させた後、カッターで余分を切る(写真)。

修理にセロテープはべたつきが出たり、黄変するので絶対に使ってはいけない。


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小口の化粧断ち。

オリジナルにめくりやすさのためか刻みが入っており、それを残すことも考えたが、酸化によりかなり傷んでばらけだしていたので、若干トリミングすることとした。

台紙の大きさよりも約1ミリ強短いガイドになる紙を用意し、断裁刷るページに挟み込み、のど元にしっかりガイド紙を押しつける(上図)。

ガイド紙がずれないようにページを開き、切る位置をカッターでしるしつける(中図)。

しるしに合わせて台紙をトリミングする(下図)。


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糊が剥がれた部分にボンドをつけ組み立て直す(写真)。


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厚紙を介して強力なクリップで固定する(写真)。

つづく


 

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2014/11/06

ペーパーバックの修理 その3  Repair a Paperback Book#3

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はぎ取った表紙の補修。

日本の文庫本と同じく、背部分で接着された一枚の表紙の紙が本文にぐるりと巻かれているのだが、ここにもべったりとホットメルトのような樹脂系ボンドがついていた。 紙を傷つけないように丁寧に剥がしたが若干表紙の紙がボンドに持って行かれ、うすくなってしまったため、うすくなった分同程度の厚みのボール紙で補強しておく(写真)。


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クータをつくる。

表紙を直接本文に貼ってもよいのだが、本の開け閉めをしているうちいずれ背が弱ったり、剥がれたりすることを考えると穴背にした方が良いかなという判断。特に確信なし(写真)。


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クータの取り付け(写真)。


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背を本文に接着する(上・中図)。

背が固まったら表紙に見返し糊入れ(下図)。


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吸湿紙を挟みしばしプレス(写真)。


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出来上がり。

オリジナルは、かなり分厚く(2-2.5ミリほど)ボンドがついていたが、今回の修理では濃いボンドを数回塗り重ねているだけなので、かなり開きは良い(中図)。

のど元には背綴じひもが少しだけ顔を覗かせている(下図)。


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何せ、たった5本のひもで固定されているので、それほど耐久性があるとも思えないが、しばらくは大丈夫だろう。

次はもっと多めに背綴じひもを仕込んで耐久性の検証をしてみたい。


 

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2014/11/02

ペーパーバックの修理 その2  Repair a Paperback Book#2

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背とじひもを用意。これは普段使っている本かがり用の背綴じひもと同じ麻ひも(上図)。

目引きした背に樹脂分の多い濃いボンドをつけひもをしっかりと埋め込む(中・下図)。


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濃いボンドをしっかりと塗り込め、寒冷紗を貼る。このとき、必ずヘラを使い密着させる(写真)。


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本文より少し大きめに見返し紙を切り出し(上図)。

のど元5ミリほどへボンドをつける。決められた幅にボンドをつけるときは、写真の様に糊おき紙にボンドを一度つけ(中図)、

指でそのボンドをスライドさせる「クマ式ボンドスライド法」が便利(下図)。

ボンドをつけた見返しは本文の表・裏表紙に貼っておく。


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背綴じひもの端をナイフで削ぎながら約一センチほどに切りそろえる(上図)。

これをほぐして扇状に広げボンドをつけて見返し紙に貼る(中・下図)。


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背から余った寒冷紗にボンドをつけ、見返し裏に貼り付ける(写真)。

つづく


 

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2014/10/25

ペーパーバックの修理 その1  Repair a Paperback Book#1

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先日実家に娘と一緒に行った際、娘に英語の勉強にともらってきた中の本の一冊。

[ BEST-LOVED FOLKTALES ] 内容は世界の有名な民話といったところ。

いわゆるの無線綴じペーパーバック。 最近は背固めの糊が良くなり、いくらか壊れづらいようだが、古いペーパーバックはやはりある程度年月が経つと背の糊にヒビが入ってそこから壊れてしまう。


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この本も表紙が外れたほか、何カ所か本文が分解してしまっている。
糸で太くなった背に丸みを持たせることで本の形状を物理的に安定させる丸背本にくらべ読んでいくうちに本の真ん中あたりがせり出してしまうのはこの手の本では仕方のない現象。

無線綴じの修復にバラバラになったページを和紙テープで継いで折丁を作りなおし、糸かがりする方もおられるようだが、ページ数が多いこともあり、そこまでする気力にはなれない。

また、以前壊れた無線綴じを和本のように平部分に穴を開け、糸で綴じたことがあるが、大変開きの悪い本となってしまったのでX。

ペーパーバックを修理する良い方法がないかと[Repair a Paperback]で検索するも、壊れた箇所にボンドをベッタリつけ直すものばかり。

これでは再度壊れてしまうのも時間の問題なので、以前作ったブロックメモ本と同じように背に背とじ糸を埋め込んで直すこととした。


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本の大きさを計測し、同サイズのボール紙を切り出す(上・中図)。

紙帯でしっかり止め、小口の各面が垂直になるように突き合わせる(下図)。


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背中にべっとりついたオリジナルのボンドを紙やすりで落とす(上図)。

元のボンドの上へさらにボンドを重ねても接着効果は期待できない。また、粗めの紙やすりを使うことで紙に凹凸が出来、新しく塗るボンドの付きが良くなりそうだ。

背綴じ糸を入れる位置を記入。五カ所入れたが、もっと入れても良かったかも(中・下図)。


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背綴じ糸用のミゾを切る。

本かがりのように綴じ糸が背綴じひもを抱えて引っ張りこむ訳ではないため、ミゾの幅が狭いと背とじ糸を入れるのが難しくなる。

また、若干でもミゾの幅が広ければ広いほどボンドが入る面積が広くなると言うメリットもある(写真)。


つづく

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