パピヨン

2011/09/10

パピヨンストライプノートWS  完結編

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こちらの見込み違いで完成までの時間が大幅に伸びてしまったため,当日完成できなかったAさんに,続きの作業をしていただいた。

制作途中の写真がないのが残念だが,パピヨン綴じで組み立てられた中身は前回までに終了していたので,残りは,表紙の組み立てと,中身に表紙を取り付けるくるみ作業だ。


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今回は表紙をストライプとし,表紙布とボール紙,チリに出るストライプと見返し紙が平行に仕上げる=垂直・水平や作業の正確性を求める少々意地の悪いテーマを組み込んであった。

だが,写真を見ても分かるとおり,表紙の小口,背,ミゾの部分のラインとストライプがぴしっと破綻なく平行の関係を作り上げることができた。

心得のある人なら理解していただけるだろうが,こうした当たり前に思えることを当たり前に仕上げると言うことは結構難しいことだ。

           *  *  *  *

ちなみにAさんは,本を作るということに「これほど沢山の行程があるとは思わなかった」そうだ。

確かに,売られている本やノートをみて,どのような行程で作られているか考える人はそれほどいないだろう。

しかし,実際に手を動かし,ペラの紙からプロダクトとしてのノートを作り上げた経験は,たとえば文房具店に行って手に取る手帳を見ても今までとは違った視点や発見があるに違いない。

手を動かすと言うことは眠っていた目を開くということでもある。

 

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2011/08/31

製本ワークショップ パピヨン綴じ編

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久々の製本ワークショップ。院生を含む大学生3名と社会人2名の参加者で開催。 


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最初に各自が選んだ表紙柄に合う色の見返し紙や,花布,しおりひもなどを選択する(上図)。

説明を交えながら制作開始。

最初に針を糸にとめる作業。撚り(より)のない細いモノコードを使うため,糸を針に直接結ぶ方法をとるが,説明がうまく伝わらず,少々手間取る場面も。次回はもっと直感的に理解してもらえる模型や見本を考える必要がありそうだ(下図)。


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かがり作業。

すべての折丁をかがり終えたあと,糸を最初の折丁まで巻き戻す作業中に糸が切れることがあったくらいで,折丁の中で糸が大きくたるむことなく,背がまっすぐに仕上がった。


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背固め作業(上図)。

中身を立てて扇状に開き,背固めがきちんと出来ているかを確認(中図)。

小口切りにも挑戦。今回は天・地の小口は切らず,前小口のみ断裁した。

口だけの説明では中々分かりづらいところもあるので,ノートの幅が狭くなることを覚悟して何度か小口断裁を試してもらう。

驚いたことに一回できちんと出来た人が1人。その他の皆さんも二度目には合格。とても優秀(下図)。


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表紙ボールに表紙布を貼る(上図)。

表紙となかみのくるみ作業。

面倒だが,背のみを最初に接着。ここで天地の「チリ」をキメてしまう(固定する)ことで,「見返し糊入れ」での見返しの貼りズレのリスクがかなり抑えられる(中・下図)。

そして,大きく端折って,完成。

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一番にアトリエ入りした大学生Nさん。

「大きな失敗もなく無難に完成」とは本人の弁だが,かがりも,くるみ作業も,失敗なくこなし,チリも天・地・前小口とも均等にでた綺麗な本に仕上がった。


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院生のAさん。

今回の人気柄(5名中3名が選択)にビビッドな赤やピンクを合わせるところがキュートだ。チリが天地で若干違ってしまったが,はじめて制作したことを考えると十分な仕上がり。


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大学生のSさん。小口切りを一発でクリアしたのはこの方。よって,他の人より若干ノートの幅が広い。聞くと普段から紙を切る機会が多いそうだ。 なるほど。 チリも均等に仕上がり上出来。


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大人のHさん。クータを取り付ける際,ちょっとしたトラブルに見舞われるも,見事にリカバー。少々ノートの幅が狭いのはあきらめずに完璧を目指した結果だ。 出来あがってみれば十分合格の内容だ。

このようにして,皆さんそれぞれにとても素敵なノートを完成させたのだが,肝心の私が制作時間を見誤り,大幅に終了時刻をオーバーさせてしまい,皆さんにはご迷惑をおかけしてしまった。

特に,もう1人の参加者Aさんは,次のお約束があったため,後日時間を作っていただき,そこで完成していただくことになった。

またその模様は後日ご紹介したい。

 

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2011/07/24

パピヨン綴じ角背上製本   完結編

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久々の角背本,かがりはパピヨン。

手製本を始めた頃はこの仕様が標準だった。かがり台もいらず,プレス機もいらず(ただし重しはいるが)それでいて本格的な糸綴じの本ができることが面白かった。

ただ,糸の張り加減が分からず,糸を切ってしまったり,逆に糸がたるんでしまったり,時には折丁を切ってしまったりもした。頼るものは本だけだったので失敗だけには事欠かない。

だが,そうした痛い思いが製本への理解を深めることにつながり,より綺麗に,より効率よく,より面白いものをつくってみたい気持ちにつながっているのだと思う。


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紙を折ったりボール紙を切ったり,表紙布の裏打ちをしたり,花布を切ったり,それぞれの作業工程を一冊分ずつ行うのがもったいないので,パピヨンを含め本かがりの糸綴じ本は数冊同時に作ることが多い。

今回は5冊同時進行。3冊をパピヨン綴じ,2冊を一本パピヨン綴じで制作した。パピヨンも一本パピヨンもそれほどできあがりに差はない。開いたときの綴じ糸の出方が違うだけだ。

しかし,普通のパピヨンの方がわかりやすく,断然作りやすい。しかもうまく仕上がる。糸かがりの入門に最適な方法と今更ながらに実感。

一方,一本パピヨンのほうは,かがり台を持っていない人にはよいかもしれないが,あまり効率的なかがりとは言えない。本かがりの方が楽にしかもしっかりかがることができる。

かがり台も,手製でよければホームセンターに行って,パーツを切ってもらえば2000円以下で作ることができるので,パピヨンを卒業したら,是非,本かがりを覚えるとよいと思う。


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今回はかがりの説明がわかりやすいようにとレインボーカラーの紙を利用したため,それに併せて布はカラフルなストライプを選んでみた。

ストライプは本のゆがみやズレをはっきり見せてしまうので,チャレンジングだがな布だが,ぴしっと決まると格好がいい。


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題簽部分には市販のコピーできる和紙に罫線をデザインして出力。水で濡らして切り口に繊維を出す「喰い裂き」という方法で切り取り貼り付けた。


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虹色ノートってどうなの?と思ったが,できてみると結構楽しいものだ。子供に,いろいろな色のペンで夏休みの日記でも描かせようか。


 

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2011/07/22

Papillon Binding  パピヨン綴じ/一本パピヨン綴じ その10

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ミゾの接着までがうまく行けばチリがずれることも減る。丁寧に位置合わせして,しっかりと接着すること。


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竹串をはさんだ状態で手機械に挟み,ミゾをつけている様子。背ボール紙があるので,あまり強くプレスすると背ボールがゆがんでしまう(上図)。

プレス機から出した背とミゾが接着された本。見返しはまだ接着されていないが,ここまでくればもう「本」と言っていい。ボンドがミゾにしかついていないので,このように見返しが開く(中図)。
ミゾを接着するときにボンドがミゾからはみ出すと,表紙ボール裏に見返しが接着されて,見返し糊入れがしづらくなる。

表紙裏に全面貼る見返し紙(利き紙)は糊の水分で若干小口側に伸びる。紙の種類によって伸び率は異なるが,今回の紙では幅1ミリ程度をトリミングした(下図)。


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見返し糊入れの準備。表紙裏に貼る見返し(利き紙)の下へ,糊引き紙,その下にワックスペーパー,吸湿用紙の順に差し入れておく。ワックスペーパーは糊が見返しの表面に回ってしまったとき,利き紙と遊び紙がくっついてしまうのを防ぐ役割をするが,これをはさんだままにしておくと,湿気が抜けにくい場合がある。

吸湿用の紙はケント紙など少し厚手の紙がよい。私は吸い込みがよいので安い水彩紙を使うことが多い。


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接着したミゾ部分を剥がしてしまわないように,90度ほど表紙を広げ,のど元の寒冷紗部分にボンドを塗る。(上図)。

糊引き紙がずれないように指で見返し紙の中央をしっかりと押さえ,指を中心として内側から外に向け,放射状に糊をつける。
ここで使う糊は,正麩糊(デンプン糊)とボンドを混ぜ合わせたものを使う。

デンプン糊は乾燥に時間がかかるため,見返しがずれたときや見返しが糊で伸びすぎてしまったとき,一度はがして修正することができる。リスクはあるがボンドでもかまわない(中図)。

指で押さえていた部分は糊が塗られていない。この部分は,指の位置に対応する表紙側に糊をつける(下図)。


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糊引き紙を取り,ゆっくりと表紙を閉じて手で軽く押す。その後,30度ほど表紙を開いて,見返しの位置が正しいか確認し,もしずれていたり紙が伸びすぎていたら,素早く修正する。正しくついていたら,手機械でプレスする。


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見返し糊入れのプレスは少し強めに力をかける。そのため,背ボールをはずした,平(表紙ボール)の部分のみを板で挟んでプレスする。

10分ほどしたら,一度プレスから外し,軽く表紙を開く。これを「風入れ」という。すぐに吸湿用の紙を交換し再度プレス。その後1-2度紙を交換しながらしっかり乾燥させる。乾燥がたりないと完成後表紙が反り返ってしまう。


 

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2011/07/21

Papillon Binding  パピヨン綴じ/一本パピヨン綴じ その9

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中身と表紙のくるみ作業。


くるみ作業で最も気をつかうのは,天・地・前小口にできる「チリ」をずれることなく均等に出すことだ。

今回の作り方では,表紙ボールの幅を [中身の幅−2ミリ] としている。この [中身の幅−2ミリ] は製本関係の実用書にもよく書かれているサイズだが,これは経験的に”だいたいそのくらいになる”というサイズで,最終的なチリの調整は組み立て時にすることになる。


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チリがずれる原因は,中身と表紙が微妙にゆがんで接着されることによる場合が多い。

手間はかかるが,接着面の向きが異なる「背」と「ミゾ」の接着を別行程とし,その都度チリを確認ながら作業をすすめることで,ゆがみのリスクを少なくできる。

最初にに背の接着する。
表紙の裏返し,背ボールの部分にボンドを塗る。横に中身を置き,それを目安に,ボンドがクータの穴にかからないよう気をつけて塗る(上・中・下図)。

また,ボンドがミゾ部分(背ボール紙と表紙ボールの間にある隙間)に入らないように注意する。


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クータにもボンドを塗る。クータの穴に入らないように気をつける(上図)。

背部分で中身を表紙に接着する。ここでは天地のチリが均等になるように注意する(中図)。

ボンドがしっかり固まるまで次の作業には入らないこと。背の部分だけで接着された状態(下図)。


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次はミゾ部分の接着。

背ボールの側面(断面)〜ミゾ〜表紙ボールの側面(断面)までボンドを塗る(上図)。

筆を使ってボンドを均等に伸ばす。特にボール紙の断面は塗りづらいので丹念に(中図)。

表・裏両側のミゾにボンドを塗りおえたら,前小口が天地小口と同じサイズになるように位置合わせする(下図)。

前小口が広すぎる場合はミゾを少したるませることで,また前小口が狭い場合はミゾ部分の布を引っ張るようにして調整する。


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小口の調整を終えたら,ずれないようしっかり押さえながら,熱した銀杏鏝(いちょうごて)を表紙ボールの側面に押しつけるようにして,ミゾ付けをする。(上・中図)。

ミゾに竹串をはめ込み,目玉クリップで仮止めする。プレス機がある場合は,この後,竹串をミゾにはめたまま,軽くプレスしておくとしっかり固定される(下図)。


 

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2011/07/20

Papillon Binding  パピヨン綴じ/一本パピヨン綴じ その8

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表紙布に芯ボールを貼る。

ストライプの場合は,当たり前のことだが,平行線が続くためズレやゆがみがわかりやすいので,気をつける必要がある。


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表・裏表紙については柄の構図など気にする必要がないため,背ボール紙のみ,ストライプがバランスよく入るよう注意して最初に貼る(上図)。

次に平のボール紙を貼る。天・地・前小口の角をサンドペーパで落としているので,これが背ボール側にならないよう向きに注意する。(中図)。

必ず表紙布側に向け,へらを使いよく接着させること。ストライプの場合,ストライプに平行してへらを動かすこと。垂直に動かすとストライプがゆがむ場合がある(下図)。


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表・裏・背表ボールがすべて張り終えたら,15ミリの幅定規を使って表紙布の折り返し部分を残して,余分な布をトリミングする(上図)。

表紙布の四隅は4ミリほどボール紙から話して45度に切り欠いておく(中図)。

折り返しの接着は天・地側から。ボール紙の断面にもボンドをしっかりつける。また,本の溝になる部分にも折り返し幅15ミリにはボンドをつけておく(下図)。


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表紙布の折り返しは,クラフト紙など丈夫な紙を下にひいて,そのクラフト紙ごと折り返し部分を持ち上げるようにして貼ると,布がたわまず均等に貼ることができる。クラフト紙越しに折り返し部をへらでよく密着させる(上図)。

四隅の始末。折り返したときに残って浮いている部分(中図)を気持ち内側に折り込むようにして前小口の折り返しに貼り付ける(下図)。

このようにすることで,あとで前小口の表紙布を折り返すとき,布が表紙からだらしなくはみ出でなくなる。


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本の溝に当たる部分も接着する(上図)。

前小口の表紙布を,天地の折り返しと同じようにクラフト紙ごと持ち上げて接着する。そして,布が二重になる角の部分の膨らみを落ち着かせるため,木槌を使って軽くたたいておく(中図)。

このような感じに仕上がる(下図)。


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表紙につけた題簽を貼る部分のへこみは,軽くへらで密着させた後,同型よりほんの少し小さい厚紙を置きプレスする。こうすることで,紙をはいだときの多少の凹凸は気にならなくなる。


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2011/07/17

Papillon Binding  パピヨン綴じ/一本パピヨン綴じ その7

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近所の中学校の横を通りかかると,校庭の中央でビーチパラソルの下なにやら棒をたてて何かしている。 これが噂の放射能の計測らしい。


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いよいよ表紙に取りかかる。まず,最終的なサイズより大きめに黄ボール(2ミリ厚)を切り出す。最初に中身の天地サイズに天地につける「チリ」6ミリ(天と地にそれぞれ3ミリずつ)を足した長さを目安にして切る(上図)。

大きめに切り出す理由は,写真を見ての通り,厚物を切ると,切り分けられた二つの切り口に角度の差が出るから。片方の切り口を垂直に切るともう一方が必ず斜めになってしまう。 刃物の形状を正面から見れば当たり前の話だが,刃につけられた角度が出てしまうのだ。

それで,斜めになったもう一方の断面をもう一度切るため,少し紙を大きく切るのだ(中図)。

次に本の幅のサイズを測る。本の幅は必ず背に花布やクータなどを取り付けた後測ること。表紙ボールの幅は本の幅−2ミリ(下図)。


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垂直を意識して慎重に切り出す(上図)。

ボール紙の天・地・前小口に当たる部分は紙やすりで面取りする。これはカッターで断裁した際できる切り口の「かえり」を取ると同時に,手に持ったときのあたりが優しくする効果がある(中図)。

今回進行中の5冊の内三冊は面取り,二冊は切りっぱなしで作る(下図)。


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角背なので,背表紙用の厚紙も用意する。背表紙用の厚紙は,背側ではない部分の紙束の厚さ+表紙ボール二枚分の厚さだ(上図)。

今回題簽(だいせん)をつける部分を少し凹ませる。このため,あらかじめ凹ませる位置を検討し,表紙ボールに形を写し取る(中図)。

写し取った形をカッターで浅く切り込みを入れる。だいたい0.5-0.8ミリくらい(下図)。


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ピンセットなどを利用して,はぎ取る形以外に傷をつけないように注意しながら,凹ます部分をはぎ取る。一度ではうまくいかないので,厚みに注意しながら,はぎ取っていく(上図)。

このような感じに仕上がる(中図)。

五冊分の表紙ボール奥に背表紙ボールが顔をのぞかせている(下図)。


 

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2011/07/16

Papillon Binding  パピヨン綴じ/一本パピヨン綴じ その6

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昨日,中身の完成と書いたが,背の処理が残っていた。

栞(しおり)ひもの取り付け,花布(はなぎれ)つけ,寒冷紗貼り,クータ取り付けだ。


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まず,背の幅を測る。写真のようにノギスではさみ,その幅をディバイダーに移すと,誤差なく背幅を利用できる。測るというと定規を頼りがちだが,定規の目盛りは細かくても0.5ミリ刻みなので,それより細かいサイズは目測になる(上図)。

花布の帯はずれないように下端をマスキングテープで仮止めし,ディバイダーで先に測った背幅をマスキングテープに移す。マスキングテープに移すのはディバイダーの印が花布直接だと見にくいため(中図)。

ディバイダーの印を元にオルファの「別たち」という名の替え刃式断ち包丁で切り分ける(下図)。

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栞ひもを切る。長さは,糊しろ分の長さ+本の対角線+5センチ(上図)。

おおよそ1.5センチほどの糊しろ分にボンドをつけ,背の中心に接着(中図)。

その上から花切れを貼る。花切れは,模様を編んだ芯の膨らみが天の小口に乗るように貼る(下図)。


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次に寒冷紗貼り。寒冷紗の幅は5センチ,天地の長さは花布間の長さ。

寒冷紗は背に貼って,残りを表,裏表紙へ均等に貼る。そのやり方は,背幅をディバイダーで移し,線を引く(上・中図)。

背幅を取った残りを半分に折る。折った折り線をはさんで,短い方が表紙部分に貼られる分,長い方が背幅+表紙に貼られる分になる(下図)。


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寒冷紗の紙で裏打ちされた側の,折り線をはさんで長い方の背幅部分あたりにボンドをつける(多少はみ出してもよい)。さらに中身の背の寒冷紗を貼る部分にもボンドを塗り,貼り合わせる。密着するようにへらでこすっておく。

その後,背の両側部分にもボンドをつけ,表,裏表紙に貼り付ける。


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クータ作り。クータは,穴背(あなぜ)と呼ばれるもので,表紙の背と中身を接着しても本を開いたときに開きがよくなるようにするための紙の筒だ。市販の本では,クータを使わずに背の部分には糊をつけないことで対応している場合が多いが,あると無いとでは強度に差が出る。

クータの素材はクラフト紙。幅は背幅の3倍弱,長さは中身の天地の長さマイナス1ミリ(上図)。

上の寒冷紗と同じようにして,切り出したクラフト紙を背の真ん中に来るように貼る(中・下図)。


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背幅の両側に残った部分を外側に観音開きになるように折り,上に被さる方にボンドを塗って接着する。クータの内側にボンドが入り込んで,筒が開かなくならないように注意(上・中図)。

本を開くとこのように筒ができる。穴背とは言い得て妙である。


 

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2011/07/15

Papillon Binding  パピヨン綴じ/一本パピヨン綴じ その5

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背固めの終わった中身の小口を化粧断ちする。最近は,小口を綺麗に仕上げるより,多少でこぼこした表情のある仕上げが好きで,しばらく小口断裁から遠ざかっていた。そもそも,この作業が好きでないため少々不安が残る作業。

一枚の紙に定規を当ててカッターで切ることはさほど難しいことではない。しかし,紙の束を垂直にまっすぐ切り落とすのはとても難しい。様々な本で,「一枚ずつ切るような気持ちで」とか「心持ちカッターの刃を内側に傾けて」と説明されているが,この「気持ち」とか「心持ち」がどの程度なのか理解するのは大変だ。

当製本クラブでも,「いかに小口断ちを綺麗にしあげるか」は設立当初の重大テーマで,研究の成果もあり,それなりに仕上げられるようになったが,完璧にはほど遠いのが現状。

なぜ斜めに切れてしまうのか,なぜ一枚ずつ切ることがよいのか,心持ち傾ける角度がどのくらいか,という疑問についての研究成果は,いずれ紹介したい。

今回はどのように切るかを考える以前に「斜めに切る原因」になってしまう中身の扱い方に注意しながらの説明。


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三方(天・地・前小口)断裁する場合,一番はじめに切り落とすのは前小口からだ。写真は地側(背が左小口が右)から見ているが,背の部分,折丁ののど元にかがり糸が入っているため,小口側に比べ膨らんでいる。

これを切るためしっかり押さえると,背が斜めにずれたり(上図),丸背のように背が湾曲してしまう(中図)。このままの状態で,小口を切ると,たとえ正確に垂直に切れていたとしても,背をまっすぐにしたとき,結果として斜めになってしまったり小口が膨らんだりする。

そこで,小口を切る場合は膨らんだ背の部分をカッターマットから外して背の垂直を確保してから小口を切るとよい。


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小口を切り終えた中身。5冊も積み上げると背と小口でこれだけの高さの差が出る。


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次に天(地)の断裁。

A-4用紙を二回折っているので,天(地)側に袋ができる。3回折った場合(一折り16ページ)はこれに加えて前小口にも袋ができる。

天地の断裁は前小口に比べ,断裁が難しい。理由は背固めをした部分,糸が入って紙が膨らんでいる部分,紙が束としてつまっている部分,という三つの異なる状態の場所を切っていかなければならないからだ。

この部分を断裁する場合は前小口と違い,背の膨らみがずれることによって角度が変わることはないので,垂直に切ることだけを心がけて定規をしっかり押さえて切ればよいが(中図),私はここを切るときにカッターマットを二重にして,背の膨らみがカッターマットに追従するようにして切っている。こうすることで,切り始めでのずれが多少押さえられるようだ(下図)。


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天(ち)小口の断裁ラインは背にスコヤを当て,直角に。ただし,背にはかがり糸の結び目が出っ張っていることがあるので,注意する(上図)。

しっかり定規を押さえ,スーッ・スーッ・スーッっと切っていく(中図)。

前・天・地小口を切り終え,中身の完成(下図)。


 

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2011/07/14

Papillon Binding  パピヨン綴じ/一本パピヨン綴じ その4

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本文ののど元に出てくるかがり糸の違いはあるが,今日からはパピヨン綴じと一本パピヨンは同時進行で作る。

まずは表紙布の裏打ちをする。

裏打ちには,ボンドと正麩糊を混ぜて薄めたものを和紙に塗って,表紙素材の裏面に貼り付け,ブラシでたたくようにして密着させ乾燥させる方法がある。これは表具師などが巻物などにつかう裂(きれ)に薄美濃紙を裏打ちする方法「肌裏打ち」に近い,本格的な裏打法だ。

しかし,糊の準備や乾かすための板など,大きさや枚数によってはかなり面倒な作業になるので,最近は簡単に「ホットメルト紙」を使うことが多い。


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ホットメルト紙は熱で溶融する樹脂を片面に塗った和紙(もしくはそれに近い素材)だ。製本用具として,株式会社キハラでも扱っているが,表具関係の店でも扱っている。むしろ表具関係の方が厚さなど様々なものがそろう。

制作頻度が高い場合は小分けで買うよりもロールで購入した方が断然安いのだが,いくら安いとはいえ,60メートルが一単位だと生きている間に使い切れるか心配になる量だ。 ちなみにロールで買うと確か,小分けの1/4程度の値段だったように思う。

このホットメルト紙,アイロンで溶着させるのだが,どうやら温度が高ければいいというわけではないようだ。

いろいろ試したところ,布の裏面にホットメルト紙をあて,アイロンの温度調節「綿」の温度で,しっかりと力を込めてゆっくりかけ,ホットメルト紙がしっかりついたら,今度は布を返して(ホットメルト紙を下にして)再度アイロンをかけるのがよい。


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次に見返し紙の準備。 大きな紙から本文に合わせて紙を切り出す。


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本文見開きの大きさに切った見返し紙は半分に折り,折った部分を5ミリずつずらして糊をつける(上図)。

手早く糊をつけた部分を本文の背の方に接着。すぐにへらでこすり,紙同士をしっかりとつける(中図)。

次に背がために入るが,準備として,本の背をテーブルに軽くたたきつけるようにして,綴じた折丁を揃える(下図)。


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背固め。綴じた中身をボール紙で挟み,綴じ糸のあたりをしっかり押さえ,ボンドを塗る。しっかり押さえないと,折丁の隙間からボンドが必要以上に浸みてしまので注意(上図)。

次にへらで,折丁の背の頂点を押さえつけるようにしてこすり,折丁同士を接着する(中図)。

右が背固め前。左が背固め後。背固めは線で結合された折丁の束を面での結合に変えること。これをしないと,背綴じ紐が少しでも緩むと折丁がずれてしまう(下図)。


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右が背固め前,左が背固め後。背固めをした後のものの方が,折丁を開いたとき背が綺麗に湾曲しているのが分かる。

 

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