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2019/05/30

Round Back Hardcover Note  丸背空帖

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厚手の生地が醸し出す<柔らかい印象>と独特の<ふわっとした手触り>。

 

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その表紙素材は娘が愛用していたTシャツ。

洗いざらしてくたびれてはいるものの刺繍がかわいい刺繍が施され、
捨てるには惜しい様子なので、本の表紙として再生することにした。

天竺編みされたこの素材はいつも使って慣れている平織りの布と違い、
厚く伸縮性が高いので若干作るのに苦労しそうだ。

 

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刺繍がうまく入りそうなサイズの本文を組み立てる。

本文紙は未晒クラフト紙。できるだけ長く使えるようにいつもに比べ折丁の丁数は多め。

 

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Tシャツは前と後ろを切り離し、ホットメルトシートで裏打ち。

 

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表紙の平と溝・背幅を正確に写し取り、表紙布にある刺繍がピッタリ収まる様に調整する。

 

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カルカスに表紙ボールを貼り、布を巻く。

通常は表・裏どちらかの表紙から貼り出すのだが、今回は刺繍をまん中に合わせる必要があるので、背の中心に表紙素材の中心を合わせて表紙平へと貼り込んでいる(上図)。

表紙素材が厚いため、表紙裏の埋め立ては0.3ミリの地券紙を二枚重ね合わせたものを使用(中図)。

こうした素材は強くプレスすると部分的に不自然な艶が出てしまうことがあるので、平部分に布をあて、全体をクッキングシートで覆う。

見返しに吸湿紙を挟みこれを数回変えながら一晩プレスして完成。

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ふだんTシャツを着慣れているせいもあってか、持ったときに手触りが心地よさがしっくり来る。
柔らかいというか、冷たい感じがしない。

これはこれで素材としていいなぁと思った次第。

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最近はちょっと着なくなる服はフリマアプリで気軽に売り買いという流れのようだが、それでもいつかは着られなくなるときがくる。

捨てるにはモッタイナイ。でも取っておくには場所ふさぎだ。その様な時にはノートへ<リユース>は断然ありだ。

ランドセルを小さなランドセルへ再生というのもあるが、こちらは飾りとしてだけではなく、新しい使い道があるのだから。

 

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2019/05/23

Dos à Dos binding  最近の制作物

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ここ数ヶ月<空帖と布>展に向けて空帖をまとめて作っていたため写真を撮る余裕がなかったため、完成時に撮った写真をUP。

 

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こちらはDos à Dos製本。 背部にスキバルテックス、平にマーブル模様の布をあしらった。
背中合わせの本は、たとえば2教科分のノートとしての利用はもちろん、料理レシピ帳として片側に肉料理、片側に野菜料理に振り分けるなど意外に使い勝手がよいのではないかと思っている。 表日記・裏日記なんていうのもいいかもしれない。

 

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問題は手間としてしっかり二冊分の労力が必要だということ。
最も量産しないのであればそれほど苦痛ではないのだが。

 

 

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2019/05/21

製本倶楽部10周年記念展示「空帖と布」(目黒 MARUSE BI GALLERY)のお知らせ

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製本倶楽部発足10周年を記念する展示「空帖と布」が目黒 maruse B1 gallery innervisions(マルセ ビーワンギャラリー インナーヴィジョンズ)にて開催中。

 

 

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目黒駅から権之助坂を下りていき、大鳥神社を越えた少し先にある画廊です。
駅からは、多少距離はありますが、近隣には素敵なインテリアショップなどが林立する散歩に最適な立地です。

ギャラリーは一階と地階にわかれており、一階では5人の布作家さんの生地や手づくりグッズなどが展示販売されています。

 

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ギャラリー奥の階段を下りるとゆったりしたスペースに、昨年末からクマ氏と作りためた新作「空帖(中味が白い帖面」が多数展示・販売されています。

 

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ランダムにかけられた趣のある棚や、古民家にあった扉を使った展示台などギャラリーの雰囲気ある備品も見所です。

 

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一つ一つ手づくり去られた空帖はひとつとして同じものはありません。 すべて手にとってご覧になれます。

 

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わがアトリエを美化したミニチュアも展示中。 手機械はじめすべてハンドメイドスクラッチ。

 

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豆本のたぐいも出品中。

 

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一階の様子。 ディスプレイボックス上の本は布作家さんの布を使った「空帖」。

 

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布作家さんたちの展示。

製本倶楽部の展示スペースは、奥に進んだところにある階段を降りたところにあります。

空帖と布

2019年5月18日(土)〜26日(日)/open 13:00〜19:00 水曜・木曜休廊

maruse ( マルセ)、maruseB1gallery(マルセビーワンギャラリー)
〒153-0064 東京都目黒区下目黒4-1-2 クリスタルビル1F~B1
tel: 03-5704-1327
info@shopmaruse.com

 

 

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2019/05/16

ハードカバーノート 空帖<そらちょう>

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本かがりで糸綴じした中味を背固めし、堅い表紙で仕立てたハードカバーノート。
角背系の製本だが、背にボール紙を使う通常の角背と違って背には表紙素材でくるんであるため、柔らかいというのが特長。
背に厚みがない分、溝が小さく見た目の印象がスマートになる。

 

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イミテーションレザー紙の背と綿布のコンビネーション。

 

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中味に指が引っかかりやすいようにチリは少なめにしてみた。

 

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中味は更紙を使ってあるため大変軽い。

 

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通常の角背に比べて背が柔らかい分開きはいいようだ。


タイトルの<空帖>について。
通常、本仕立ての中味が無地の本を「白い本」とか「白束(しろづか)」など呼ぶ。
製本倶楽部のクマ氏とその話になり、白い本では面白くないということで、中味が無地の本を「空帖」と名付けることにした。

「空」とは無限に広がる<そら>であり、なにも描いていない<から>な存在であり、実態のない<くう>なであり、中味のない<うつろ>を意味している。

空帖を使う人がそれぞれの色にこの本を染めていってほしい…
そのような思いをこめてこの名前をつけた。


 

 

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2019/05/09

ハードカバーノート その2

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表紙の準備。

これも表紙素材の切り返しタイプなので、黄ボールを薄剝ぎして、切り返し部分に1.5ミリほどのミゾをつける(上図)。
このミゾの幅や深さは素材の厚みによって変えている。

ボンドで先に布部分をボール紙に貼り込み、折り返し分として10ミリのこしトリミング。(中・下図)。

 

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角は丸く切りとる(上図)。

角部分を残し天地前小口の折り返しを貼る(中図)。

角部分は尖ったスパチュラを使いヒダを作りながら丸みを出す(下図)。

 

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背側の表紙素材には背幅の地券紙の両側に黄ボールの厚さ+1.5ミリ(プラスする分は表紙素材の厚みで若干変わってくる)のミゾをつけ表・裏表紙を連結する(写真)。

 

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最初に濃いボンドで本文の背と表紙の背を接着(上図)。

背が乾いた段階で見返しに糊を入れる(中図)。

慎重に表紙と見返しを貼り合わせ体重をかける(下図)。

 

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間に吸湿用の画用紙をはさみプレス(写真)。

吸湿紙をなん度か替えながら一晩プレスして完成。

 

 

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2019/05/02

ハードカバーノート その1 

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角背本には本文を平、背にボール紙で作ったハードカバー出くるむ「上製本」と紙で簡単に本文をくるむ「並製本」がある。

一般的に手帳やノートには柔らかい表紙でくるまれた並製本タイプのものが多いが、開きもいいしページをめくりやすいというメリットもあるが、使い込んでいくと角がよれたり曲がるデメリットもある。

一方上製本タイプのノートもあり、存在感は並製本タイプに比べ優ってはいるが、見た目が若干堅苦しく感じ、若干並製本に比べ開きが悪い。

本文はしっかり堅い紙で守られ、開きやすい…つまり、ハードカバーで背が柔らかいタイプ、いわゆるモレスキン型ノートを作ってみる。

中味は更紙を糸綴じしたもの(上図)。

 

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綴じた本文はボンドで背固めをし、前小口の角をコーナーカッターでトリミングする(写真)。

 

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見返しを貼る(写真)。

 

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大きめみ切った見返しの余分を切りとる(上図)。

背綴じひもを扇状に広げて見返し側に凸凹ができないように貼り付ける(中・下図)。

 

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プラスチックより持ちがよいとは言え、骨ベラも使いつづけると摩耗してくる。
気になった時にペーパーで調整研ぎしている。

しかしそれも繰り返すとどうやら骨に染みこませるリンシードオイルが届いていない部分に至ると摩耗の度合いが激しくなるなってくる。 そのような時は改めて研ぎ直し、再度リンシードオイルにつけ、乾燥させるとよい。

再生されたヘラは艶を取り戻す。 道具はこのように大切に育てることで持ち主の手になじむ片腕となる。

続く。



 

 

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