« ミニ和本 その2 | トップページ | ミニ和本 その3 »

2017/11/22

芸術の秋…

211


大変混んでいると噂の運慶展。
そろそろすくかと様子を見ていたが残り一週間になっても観客が減る気配がないので重い腰を上げて出かけてみる。


212


10時半頃の到着で30分待ち。
普段ならこれだけ人が並んでいたら、常設展を観て帰るパターンだが、前売りを持っていたので致し方ない…、運慶だし。


213


仏像彫刻は白鳳、天平につきる。
写実とその奥に秘めた精神性は仏像彫刻の頂点といえる。

個人的好みでいうとそれ以外はあまり興味ないのだが、慶派は多少引かれるところがある。

運慶というかお父さんの康慶から始まる慶派は鎌倉時代を代表する一派で、奈良を拠点とする古き良き時代の天平彫刻の中で育った仏師集団。
東大寺や興福寺が南都焼き討ちで失った多くの天平彫刻をそのスピリットを活かした仏像の復興に尽力した。

貴族趣味的な仏像が主流となった平安時代から武家の社会へ変わる鎌倉時代に天平の写実主義を復活させ、数々の素晴らしい作品を残している。

鎌倉以降(運慶やその実子、湛慶・康弁・康勝など以降)はこれと言って観るべき作品が少ないのは仏教と政治、仏教と人の関係がだんだんと形式化していったからだろう。

そういう意味で飛鳥時代日本に入ってきた仏教によって国を治めようと考えた鎮護国家思想が形として現れた天平彫刻を復活させた慶派の果たした役割は大きい。

今回の展示では、円城寺の「大日如来」、康慶の瑞林寺「地蔵菩薩」、興福寺「無著菩薩」などはグッと引き込まれる迫力がある。 仏像ではないが康慶の頂相(開祖・高僧の像)康慶作「法相六祖坐像」や運慶作「重源上人坐像」は傑作揃い。

特に「重源上人坐像」は秘仏で、東大寺でさえ年に二日しか観ることが出来ない作品。 しかも360度ぐるりと観ることができる。 そのリアリティーは天平時代の作で肖像彫刻の傑作と名高い唐招提寺の鑑真和上に劣らないのではないか。 今回は重源上人がじっくり見られたことが一番の収穫。

また、おもしろかったのは「八大童子立像」。
小さい作品だが表情・動きが自然で今にも動きだしそうな雰囲気。
ライティングの関係だろう、玉眼が本物の目のようにつややかに光り、ともすると生きているのではないかと一瞬錯覚をおこしそうだ。

あとは、康弁作「天燈鬼・竜燈鬼」。あのウイットに富んだキャラクターの表現はいつもながら見てもニヤッとしてしまう。

と言うわけで、大変混んでいたものの3時間ほどかけてじっくりとたっぷりと楽しむことが出来た。 


214


常設展もひとまわり。
仏像コーナーには京都・大将軍八神社の「男神坐像」が。
神像の出品は珍しい。 一木造というから、恐らく雷に打たれて折れた太い神木を使ったりして作ったものと推察するが、たたずまいや表情など、心に残る神像だ。


215


ハートの埴輪。 本当にハート。今も昔も変わらない。

右の刀は「石田正宗」といわれる刀で、石田三成所有の刀だったらしい。
珍しいのはみねの部分に受け傷があること。 

刀と刀の斬り合いでは当然刃こぼれや受け傷が出来るに違いないが、なかなかそうした実戦を感じる作は観ることがない。

そういう意味ではちょっと珍しい刀だ。


216


これまた前売りを持っていたので、1時間待ちで怖い絵展も観る。
運慶展は高齢の方が多かったのに比してこちらは若者がほとんど。

私は中野京子氏の「怖い絵」を数冊読んでいたので、あまり展示作品が何かも特に気にせず前売りを手に入れたのだが、正直ここまで混むとは思わなかった(個人の感想)。

それほどキャッチーな絵がある様にも思われないしね(個人の感想)。

どうせならボッシュとかブリューゲルとかルドンとかゴヤとかベックリンとか観たかったんだけど(個人の感想)。

ただ、絵の背景(その絵の由来)を理解しながら絵画を観るという「絵画の鑑賞法」を学ぶ展覧会と考えれば意味はあるだろう。

特に宗教画などは(これは仏像も同じ話だが)絵の善し悪し以前に聖書なら聖書のどういった場面が描かれているかを知っているか知らないかによって見えてくるものが違ってくるから。 革命や事件・事故を題材にした絵画も同様。 

そういえば本の「怖い絵」はそういう本ですものね。

怖い絵の中で紹介された見たい絵がなかったからといって文句を言ってはいけませんね…。




|

« ミニ和本 その2 | トップページ | ミニ和本 その3 »

散歩」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1485888/72272479

この記事へのトラックバック一覧です: 芸術の秋…:

« ミニ和本 その2 | トップページ | ミニ和本 その3 »