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2017/05/27

コプト製本 Coptic Binding

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コプト製本(coptic binding) はエジプトのキリスト教信者コプト教徒が西暦2世紀頃から11世紀頃まで利用していた製本法。

各折を一つ下の綴じ糸に絡めながら綴じていくことで、背にでる綴じ糸がチェーンのような形に見えるので綴じ方自体はチェーンステッチリンキングとも呼ばれるようだ。


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無骨な外観だが、存在感がある製本。

背固めも背表紙もないため開きはストレスフリー。


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表紙の板の断面から平部分へ斜めに開けられた穴をとおって表紙が本文と接続されている。

これは表紙と本文とを綴じる糸の距離を最小にするためと思われる。


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用紙は新バフン紙(上)と宣紙(下)。
バフン紙のほうは4枚一折りで、小口は化粧断ちしていない。

宣紙は喰い裂きにより断面に表情がつけてある。


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綴じ糸にあったゴムをつけてみたが細いものしかなくちょっと繊細すぎか(上図)?

真田紐のようなゴワッとした紐を巻き付けてとめるほうが雰囲気が良いかもしれない(下図)。


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2017/05/22

舌圧子

海外のサイトで折り本の解説を読んでいると…

<Fold paper in half and crease the edge, using a bone folder, tongue depressor or ruler>

とある。

要するに「紙を半分に折り、骨ベラやtongue depressorや定規を使って折り目をつけろ」というようなことだが、はて、<tongue depressor> とは一体何だろう?


辞書を引くと<tongue depressor> とは舌圧子(ぜつあつし)と言うものらしい。


早速画像検索。

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なるほど、風邪をひいたとき「ノドみせて」お医者さんがギュッとベロを押さえつける器具のことのようだ。

金属製のヘラでは粘土などの成形にに使うスパチュラなどがあるが、金属が薄かったり、エッジが尖ったものが多く、骨ベラの代わりになるものは少ない。

確かに舌圧子ならばベロを傷つけないようにエッジは丸められているのでいいかも。

金属なので折り目もかなりキッチリつきそうだし…。

それにしても<tongue depressor>というのが当たり前の様に書いてある当たり、海外では一般的なのかな?



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2017/05/17

下町へ 谷中→上野 森鴎外美術館や東京都美術館

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下町方面へでかける。
第一の目的は森鴎外美術館。
<鴎外の「庭」に咲く草花>展。
団子坂上にあった住居「観潮楼」に咲く季節の草花を記録した鴎外の日記をもとに植物学者牧野富太郎のスケッチで振り返るという趣向の展示。


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小さい頃、牧野富太郎植物記に描いてある植物の絵がすきで(文章はほとんど読まずに!!)よくページをめくっていた。
植物学者の描く絵だから当たり前だが茎からでる葉の付き方やらしべの表現や葉脈のとらえ方など子供ながらにいつも感心して見ていたのを思い出す。

で、富太郎の原画が見られる!!と喜び勇んで出かけたわけだが、何と展示時期の境目でほとんどが複製画。

ホームページにある展示品目録のPDFを確認すれば良かったのだが、複製しかない時期がある旨をもう少しわかりやすく告知して欲しかったなぁ。

が複製とはいえ、図鑑とは違い下絵や線の抑揚が見られたし、なにより鴎外の超人的な才能は十分垣間見ることができたのでよしとするか。

特に、鴎外が受講していた大学の植物学のノートは必見。字もうまけりゃ絵もうまい。 


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途中、お弁当を買って公園で食した後、歩いて上野方面へ。

東京藝大の前を通るとバベル展の立て看板がある。
「あれ?都美館じゃなかったっけ」。
「入場無料?」 とにかく行ってみる。

するとバベルの塔展の連動展示でバベルの塔の立体が飾られていた。

表半分は実際に立体模型として作られており、裏は部屋を暗くしてプロジェクターマッピングでバベルの塔が映され昼夜や働く人などを動かしていた。

今回の展覧会では複製画を含め色々なところで東京藝大がかかわっていたようで、小さな絵一枚を多角的に表現して楽しませることを積極的に行っていたのが印象的。


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模型、良く出来ています。 東京都美術館からは少し離れていますが、バベルの塔展を観に行かれる方は観に行くことをオススメします。


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さて、バベルの塔展。
ブリューゲル(父)の表題作品一枚でも鑑賞券分の価値は十分あるし、それにヒエロニムス・ボッシュの油絵2点が加わっているのだから十二分と言えば十二分。

だからこそこれらの作品前は大変な人だかりで絵の近くに行こうとすると大変な労力を必要とする展示会になっている。

一方他の作品はさほど並ばなくともそれほど無理なく鑑賞できる。その理由は、ほとんどが宗教画だからではないだろうか?

絵の善し悪しは別にしてこの宗教画というのはちょっとくせ者で、聖書の世界を知っているか知らないかで楽しみ方が大きく変わってくる。 

するともう少しお目当ての絵にだけ人が群がる現象も少しは抑えられるのではないか。

いわば宗教画というのは原作があってそれが映画化されたものと考えると分かりやすい。

ロードショーをいきなり観るのもいいが、前もって原作を読んでから映画を観ると、原作のディティール…あの場面はどう表現されているかな?という見方が出来ると楽しさが倍増するわけだ。

たとえば 32「ソドムとゴモラの滅亡がある風景」。画面右下方向で天使に導かれて逃げるロトと娘の後ろで何やら固まりのようなものが描かれているがこれは「絶対に後ろを振り返っちゃ行けないよ」と言われたのに振り返ったお母さんが塩の柱にされてしまっている様子で、このテーマではお約束になっている要素。

ソドムとゴモラと言ったら天使、ロト、娘たち、塩の柱になったお母さん、遠くで燃えている街というのがどう描かれているかな?と探すのが聖書の絵画の一歩踏み込んだ楽しみ方。

で、33「ロトと娘たち」という絵が連番で飾られているのだが、これは街が滅亡し逃げたロトと娘たちが住むところに娘の婿になってくれる人が居らず、それを悲観した娘たちがお父さんであるロトを酔わせて…」というやや妖しい話の場面。

需要と供給の問題でもあるが、禁欲的な宗教画の世界でいかに裸体を描けるテーマを見つけるかというのも画家の性。

知っていると「ロトと娘たち」の見え方もちょっと違ってくる。

とはいえ、聖書を全部通読して理解などは無理。
宗教を簡単にまとまっている本や宗教画の読み解き本などを何冊か読むだけでも良いと思う。(実際私自身がそんな感じ)

ちなみに以前改装本で紹介した「阿刀田高の宗教3部作」「旧約聖書を知っていますか」「新約聖書を知っていますか」「イスラム教を知っていますか」は楽しく読めるめるし、面白い場面はかなりピックアップされているので私のような宗教音痴には取っつきやすい。



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話は前後するが、藝大のバベルの塔展会場の脇に法隆寺金堂 釈迦三尊像のレプリカが飾ってある!!
カメラに撮影、3Dプリンターで再現した原型からブロンズで鋳造と現在考えられる最高の方法で再現されたもの。
金堂ではかなり暗くディティールが見えづらい環境の釈迦三尊が目の前にある感動。

側面を目で見るチャンスはほぼないので写真でパチリ。

この頃の仏像づくりは正面観照性といって、正面から見られることのみを目的として作られているのでレリーフとまで言わないが奥行きはほぼ無視されていると言う特長がある。 それを直に確認出来るチャンス。

ただ、釈迦如来の両側にいる脇侍、右が金色表現になっているが、実際は左側の脇侍が金色になっている。

うろ覚えだが、土門拳が多分あれは磨いているうちに光りすぎてしまって途中でやめたものに違いない、と言うようなことを書いていたような気がする。

わざと逆にしているのだとは思うが、なぜだろう?

 

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2017/05/13

コプト製本 その5  Coptic Binding #5

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綴じ作業。
一折り目の内側から針を通す。 
糸は生成りの麻糸。


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折丁の外へ出し、木の表紙に綴じつける(上図)。

これをくり返し、二折り目を綴じつける。 二折り目以降は必ず下の折の綴じ糸に絡ませながら固定していく(中図)。

宣紙は和紙に近くフカフカしている紙なので12折綴じた(下図)。


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最後の折から表紙を綴じつけ、糸を切り完成。


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新バフン紙バージョンも綴じ作業。
こちらは硬い紙なので、宣紙の厚みに合わせて8折とした。 糸は緑系の麻糸を使用。

そして完成へ。


 

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2017/05/09

コプト製本 その4  Coptic Binding #4

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2冊作るうち、1冊は宣紙の喰い裂き仕立て。


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もう1冊は新バフン紙をカッターで切ったもの。


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表紙のサイズに合わせた用紙を4枚ひと折りにする。
あえて化粧断ちはせず、小口を山形になったままとした。


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喰い裂きの折丁と表紙板を重ねてみる。
コプト製本は古い製本方法なので、やはりこうしたザックリした雰囲気がよく似合う。


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折丁は自製穴開けジグにセットし、ガイドに合わせて目打ちで穴を開ける。

つづく


 

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2017/05/05

コプト製本 その3  Coptic Binding #3

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穴を開けた板は手に取ったときの当たりを良くするため角を丸める。


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120番程度のペーパーで慎重に角Rをつけます。
特に背部分の断面から平部分へ斜めに穴が開けられた部分は慎重に作業をしないと穴が割れてしまうので注意。


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良く木くずをはたいてニスを塗る。


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今回使用する紙の一つはこれ、「宣紙」。
聞き慣れないかも知れない方でも「画仙紙」とい名は知っておられるかと思う。画仙紙の仙紙=宣紙のこと。

中国安徽省涇県産の砂田稲草と青檀樹皮を原料とし安徽省の宣州で作られるところから宣紙と呼ばれるとのこと。 1000年持つ紙らしい。 

画仙紙は書画に使われる紙一般をいい、宣紙はそのオリジナルでありブランドでもある、と言うことらしい。

これは正真正銘の
中国安徽省涇県産 紅星牌製の紙。

柔らかくしなやかな紙だ。 


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幾重にも軽くではあるが畳まれているのでその跡をアイロンで軽くのばす。


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今回この紙を利用したのはこのため。

紙を折り、折り目に水をつける(上図)。

両手で折り目を広げるようにして裂く(中図)。

いわゆる喰い裂きで切り口に表情をつけようというわけ。

どういう紙でも喰い裂きは出来るが、半紙だと薄すぎるし、厚みのある紙だと枚数をこなすには手がかかる。

この紙だと比較的厚みもあり裂きやすいため、喰い裂きにはもってこいなのだ。

つづく。


 

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2017/05/01

コプト製本 その2  Coptic Binding #2

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ピンバイスとドリル刃。
最近あまり出番がなかった道具の筆頭。
 
一番細い刃は0.3ミリで0.1ミリ刻みで1.2ミリくらいまでが揃っている。

10年くらい前、0.3ミリのドリル刃などはすぐ折れるくせにビックリするような値段でとても慎重に使っていたものだ。

しかし最近では0.5ミリのドリル刃が100円ショップでも売られているので、切れ味はともかくこのぐらいの細さになるとクルクル回せば穴が開くので、何種類か持っていると楽しい。


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で、今回はこのドリル刃を何に使ったかというと表紙に使う木の穴開け。 

平らな部分を開けるだけなら小型ルーターにドリルを取り付けてギューンとやるのだが、今回は5ミリ厚の木の平から小口の断面へ斜めに穴を通すため、慎重に角度を見ながら細めのドリル刃を使って手回しで開けた(写真)。


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穴は小口側と平側の両側から開ける。そうすると木のバリが出ずに済むからだ。

ただ、穴が真っ直ぐつながっていないことがあるのでこれまた極端な道具「針ヤスリ」という極細ヤスリで穴を真っ直ぐ通す(写真)。


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真っ直ぐとおった穴をさらに径の太いドリル刃で広げる(上・中図)。
この場合も小口側、平側両方から開けていく。
開けた穴は丸型の精密ヤスリで形を整える(下図)。


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表紙の穴開け完了。

つづく

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