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2013/02/21

骨ベラをつくる  Make a Bone Folder

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表題は「骨ベラをつくる」としたが、正確には「骨ベラを仕立てる」と言ったほうが正しい。



ボーンフォルダーの名で製本やカルトナージュ専門店で販売されているこの牛骨を素材としたヘラ。写真は手を加えてない状態のもの。



このままでも使って使えないことはないのだが、正確に筋を入れる、正確に折るとなると少々心許ない。

店頭で売られている状態はあくまでもヘラとしての素材であって、使用する人がその人にあった形状に仕上げてはじめて道具としての価値を持つようになる。



ちなみにヘラの素材になぜ「骨(その他に角や象牙などもある)」が選ばれるのか。

理由は「強度が高く摩擦に強いから」だろう。プラスチックのヘラも売られているが、薄くとがった形状を作り出せても、布や紙にこすりつけるとすぐに摩擦熱で変形したり、折れてしまう。



金属のヘラもあるが、逆にこちらは堅すぎて整形しづらい上、使用対象物の布や紙を傷つけてしまう可能性が高い。



最近では摩擦係数のテフロンを素材としたヘラも登場し、利用する場面も増えてきたが、「硬質さ」がないため、ある程度の厚みが必要で、骨ベラに全てが置き換わるまでには至ってない。


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買った状態は先端と後端へむけて少しずつ薄く整形されており、側面にはまるみを持たせてある。



先端は三角形に尖っており、後端は丸く仕上げられている。



表と裏の区別はあまりない。

ボーンフォルダーのスタンダードなスタイルだ。

同じ形状でも大きさが何種類かあるので、実際手に取り、握ってみて手になじむものを選ぶと良いだろう(写真)。


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整形には紙やすりを使う。耐水ペーパーと呼ばれる水をつけながら使用できるタイプのものを選ぶと良い。



紙やすりには目の粗さがあり、数字(番手)の大 きさで分けられている。数字の小さい方が目が粗く、大きいと目が細かい。



ちなみに私は、


荒削り #120 > #150 >#180* > #230


整形  #280* > #320 > #400* > #600 >#800*


仕上げ #1000 > #1200* > #1500 > #2000


と番手を上げていく。



このように細かく番手を上げるのは傷取りがより短い時間で出来るからで、多少時間をかけても構わなければ* の印がついた5−6種程度を用意すれば十分だろう。



荒削りでは板に番手の大きい紙やすりを貼り付けたもので、がりがり面を意識して削る。

板に貼らずに紙やすりを手に持ったまま削ると、エッジが出ず、いつまでたっても角の 取れた生ぬるい形にしかならないので注意。

エッジの立ったところは鋭く、丸く仕上げたいところは多角形にケズリ出すのが荒削りのポイント。



荒削りが終わったら、番手を上げるに従って紙やすりを手持ちに変えていく。ただし、シャープ(エッジたたせる)に仕上げたい部分は台に紙やすりをおいて削る。


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今回はこのような感じに仕上げてみた。



先端の上面を平面にし、エッジをシャープにした。定規にヘラを沿わせる際、厚みで誤差が出ないようにするためだ(上図)。



後端はあえて直線にカット(中・下図)。

売られているボーンフォルダーの後端は丸く仕上げられているものがほとんどだが、今までその必然性を感じたことはない。

今回は、真っ直ぐにして、ボール紙に布を巻くときの四隅の折り返し処理用としてカスタマイズしてみた。

といった具合に、自分の作業に合わせて道具を仕立てることができるのも「自分で作る」ことの醍醐味。


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紙やすりで仕上げが終わったら、やすった時にでた骨粉などをよく払い、リンシードオイルにつけ込む(上図)。

リンシードオイル「亜麻仁油」と呼ばれる油絵に混ぜるバインダーで空気に触れると硬化する乾性油。

先に、骨ベラが強度が高く摩擦に強いと書いたが、それは骨を構成する組織が隙間を持って絡み合って出来ているからだ。

通常のコンクリートよりも多孔質の「気泡コンクリート」のほうが軽く、強く、熱を通しにくいのと同じ原理。

ある程度のボリューム(厚み)があればもちろん問題ないが、今回作るヘラのように極端に尖っていたり、薄いものは細かい隙間が「欠け」の原因になってしまう。

これを予防するために固まるオイルを染みこませて隙間を埋めるのだ。



骨の隙間に入るだけの油の量があればよいのだから、特にどっぷりと漬ける必要はない。私はジップロックにヘラを入れ、リンシードオイルを少量入れてあらかた空気を抜き、ヘラの周りに油がまとわりつくようにしている。



これであればリンシードオイルが空気に触れることもないし、油の量も最小限に抑えることが出来る。



つけ込む期間は、ヘラの中隅々にまで油が染みこむまで。



光に透かしてみると油が染みこんでいない部分は不透明なのですぐ分かる。染みこむ前に取り出して仕上げてしまうと、使う分には問題ないが、見た目がムラになって美しく仕上がらない。



また、油は乾燥すると固まってしまい、もう一度油につけ込み直しても修正は出来ない。

必ず自分の目で見て仕上がり具合を確認して次の作業に当たるのが大切。


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一週間つけたこんだヘラ(上図)。

不透明な象牙色だったヘラに若干透明感が出てくる(中図)。

袋から出して水で洗い流したあと、番手の大きな耐水ペーパーで水を付けながら磨いていく(下図)。

磨いているうちに表面に浮いた油はとれてしまうので、石けんや洗剤で洗う必要はない。

ただし、染みこんだ油が完全に乾燥するまでは、表面に油がしみ出し対象物を汚してしまうこともあるので、しばらくの間は大切なものの上に置きっぱなしにしない方がよい。


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若干黄色く写っているが、処理前の写真と比べると密度が増したのがはっきりと見て取れる。

背景色が透けることで先端部分の薄さがわかる(上図)。


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先端と後端のエッジ。



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一番左が今回制作のもの。



こうして比べると、ロールアウト直後という感じの色でまだ若い。



これが使うごとに日を追うごとに油が酸化して飴色に変化していく。どのように成長していくのか楽しみだ。

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